YOKOHAMAホイールデザイナー 萩原氏
YOKOHAMAホイールのデザイナー 萩原氏が新型ボクスターS(981型)を購入。
右ハンドルの6MTという珍しい組み合わせをオーダーしたせいか、注文から1年待たされての納車。早速ホイール交換ということになったのだが、やはり純正状態の車高の高さも気になり、同時にローダウンも行った。その交換記をご紹介します。
H&RのスプリングとRZ-DF
ホイールブランドは
ADVAN Racing RZ-DF for Porsche。金型鍛造1ピース構造で、ハブフィットや純正ボルト対応の球面座はもちろん、付属のセンターキャップを純正オーナメントに付け替えることもできる設計だ。色はかねてからの計画通り”RACNG RED”を選択。
ホワイトのボディカラーにレッドのソフトトップをチョイスしたのも実はこの赤いホイールとのコーディネイトのため。ホイールサイズは、次のとおり。
F : 19 X 8.5J 130-5-52 (純正8.5J +57)
R : 19 X 10.0J 130-5-40 (純正9.5J +45)
車高ダウンには、定番の(というか現状これしかアフターパーツがない)H&Rのスプリングを装着。フロントが30mm、リヤが35~40mmという輸入元の説明や実装着の写真をネットで確認。なぜかちょっとだけリアが下がりすぎに感じるけど、まあこれしか選べないからしかたがない。
ちょっとファットな
純正19インチタイヤ
さらに悩みの種が、純正タイヤ径のでかさだ。
純正タイヤサイズは次のとおり。
F : 235/40R19 (タイヤ外径 671mm)
R : 265/40R19(タイヤ外径 695mm)
今回の981はオプションで20インチの設定があり、その20インチでの性能確保を図ったポルシェは扁平率35をキープしたかったのだろう。結果19と18インチの純正タイヤ設定が扁平率40と45というとてもファットなタイヤ設定になってしまった。
とそんな悩みを抱えている時に、ちょうど偶然に北米の代理店から彼らのカスタマーの981ケイマンのカッコいい写真がメールされてきた。
このケイマンに装着されているサイズは次の通り。
F : 245/35R19 (タイヤ外径 655mm 純正差 -16mm)
R : 285/35R19 (タイヤ外径 683mm 純正差 -12mm)
これは、いけそうだ。車高もフロントは8mm下がって、リアは6mm。ちょうどH&Rで気になっていた、リア下がりのセッティングも解消される方向だし、フェンダーアーチとの隙間も写真で見る限りまったく問題ない。
さてホイール&タイヤサイズも決まり、いよいよ交換の段取りだが、もう一点車高とともに気になっているのが純正状態でのキャンバー角度だ。特にフロントはゼロキャンバーに近く、ステアリングを切ったフィーリングや見た目の迫力からももう少しキャンバーが欲しいところ。ローダウンでアライメントも取り直すので、ここは少しキャンバーをつけてもらおう。
またホイールのRZ-DFのインセットは純正に近い設定なので、ノーマル車高でのフェンダークリアランスから予測しても、ローダウンでは少し入りすぎてしまいそうだ。そこで、リアに5mm、フロントはキャンバー増しの分も計算に入れて7mmのスペーサーを入れることにする。スペーサーは名古屋の専門ショップ“スペックス・ポルシェ”の製品だ。このスペーサー装着にはポルシェ純正のロングボルトを使う。
ボクスターSに純正装着されているボルトは頭が黒だが、このロングボルトの頭はシルバーなのが唯一残念な点だが仕方がない。もちろんボルトの掛かり代だけでなく、7mmスペーサーでもセンターハブとホイールとがハブフィットするのも確認済みだ。
タイヤガーデン駒岡
さて、作業開始。パーツ手配から作業までを依頼したショップは「
タイヤガーデン駒岡」。ショップ外観は純然たるタイヤショップだが、店長以下、スタッフはみんなクルマいじりに関してはかなりの腕前。サス交換などは朝飯前で、エンジン交換などの荒業までこなしてしまう、実はチューニングショップ真っ青のテクニカルショップなのだ。
981型ボクスターの作業は初めてだったが、何のためらいもなく作業が進んでいく。前述のキャンバーを含めたアライメント調整は、東洋精器の最新アライメントテスターで、キャンバー、キャスター、トーのそれぞれの相関する変化量を確認しながらベストな値が探られた。結果、キャンバー角は前後ともローダウンしただけの値が思いのほか揃っていたため、ここを基準に1°+αでセッティング。スペーサーによるフェンダーとのツライチ具合もベリーグッド。
アライメント結果
最終決定されたデータはシートの通り。左右ビシッと合った値が何とも気持ちよく、ルックスとともにその爽快な走りに期待が膨らむ。
プロジェクトμ「ユーロエコ」
そう、もう一点大事な変更点があった。それはブレーキパッド。ポルシェに限らずインポートカーのブレーキダストは尋常じゃない。ポルシェもその際たるもの。ちょっと走っただけでホイールは黒粉をまぶした状態になり、せっかくのきれいなホイールもその良さをキープできない。
で、交換したパッドはプロジェクトミューの「ユーロエコ」という製品。ストリートでの制動性能をキープしたまま、極力ダスト発生を抑えた優れものパットで、その威力は強烈。一週間毎日乗っても、ホイールに乗っているダストは本当にわずか。しかも純正パッドのように油っぽい湿ったダストではなく、さらっとしているので簡単に拭き取れる。これは、ホイール交換には同時交換必須アイテムではないかと真剣に思った次第だ。
さてさて、完成したボスクターSがこちら。北米チューナーのケイマンの迫力にはちょっと及ばないが、純正状態とはまったく別物。走りも純正タイヤのぶよぶよした感じがなくなって、とってもいいフィーリング(タイヤはコンチネンタル スポーツコンタクト5Pを装着)。
H&Rと純正ショックのマッチングはまあこの程度というところはあるけど、それでも素性のいいボクスターなので十分なレベル。何より自分のボクスターを見るたびかっこよさに惚れ惚れとする。走っていても停まっていても、振り返る人が倍増した。これぞクルマに手を入れる醍醐味といえるのではないだろうか。
うん、それにしてもかっこいい!